株式市場の急落や経済の不透明感が強まると、「積立投資を続けるのが怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。特に20代~40代の投資初心者にとっては、目の前の損失が精神的なストレスとなり、積立をやめてしまいたくなることもあるでしょう。
本記事では、株式投資における「二つの運用手法」を整理しつつ、「怖い」と感じた時の対処法、リスク許容度の考え方、そして自分に合った運用方法の見つけ方について詳しく解説します。積立投資における悩みや不安を解消し、長期的な資産形成に役立てていただければ幸いです。
1. 株式投資には2つの基本手法がある
まず、株式投資の世界では「長期積立投資」と「裁量投資(アクティブ運用)」という2つの基本的な手法が存在します。
① 長期積立投資(パッシブ運用)
代表的な手法は「インデックス投資」。日経平均株価やS&P500など、指数に連動する投資信託やETFを毎月一定額ずつ積み立てていく方法です。
この手法は「ドルコスト平均法」の考え方に基づいています。価格が高いときには少量、安いときには多く買えるため、平均取得単価を下げることができ、長期的に見ると市場全体の成長を取り込めるとされています。
② 裁量投資(アクティブ運用)
株価チャートやファンダメンタルズを分析して、タイミングを見計らって個別銘柄を売買する方法です。市場全体に左右されにくい一方で、投資判断に知識や経験が求められます。
積立投資は「時間を味方につける投資」ですが、下落局面では一時的な含み損を抱えやすく、「今このまま続けて大丈夫なのか?」と不安になる要因になります。
2. 「怖くて続けられない」は正常な感覚
株価が下がり続けていると、積立を続ける意味があるのか、不安に感じるのはごく自然なことです。多くの人は、理論上「下がったときこそ買い時」とわかっていても、実際に資産が減少する局面では感情的に不安になってしまいます。
ここで重要なのは、投資における「リスク許容度」を正しく理解することです。
リスク許容度とは?
リスク許容度とは、「どの程度の損失まで精神的・経済的に耐えられるか」という尺度です。資産が10%減ったときに「気にならない」人と「夜も眠れなくなる」人では、同じ投資戦略は通用しません。
リスク許容度は、以下のような要素で変わってきます。
- 年齢や収入、生活費の余裕度
- 家族構成やライフイベントの状況
- 投資経験や知識
- 過去の損益体験(トラウマ含む)
つまり、「積立が怖い」と感じた場合は、無理して継続するよりも「自分のリスク許容度を超えていないか?」と一歩引いて見直すタイミングなのかもしれません。
3. 続ける?やめる?判断に迷ったときの考え方
積立を継続するかどうか判断に迷ったときは、以下の3ステップを実践してみましょう。
① 投資目的の棚卸し
そもそも、なぜ積立投資を始めたのかを振り返ってみましょう。「老後資金の準備」「子どもの教育費」など、明確な目的がある場合は、目先の下落に過剰反応しなくてもいいケースが多いです。
② 家計状況の再確認
生活費や緊急資金(生活費6カ月分が目安)が確保されているか?必要以上に投資に資金を回していないか?家計を見直すことで安心感が得られる場合もあります。
③ 積立金額の調整
「ゼロか100か」ではなく、積立金額を一時的に減らすという選択肢もあります。例えば月3万円から1万円に減らすだけでも精神的負担は軽くなり、積立を継続するハードルも下がります。
4.「耐えられない」と思ったら、別の手法も視野に
積立投資が自分に合わないと感じたら、他の方法に切り替えるのも一つの手です。
・定期預金や個人向け国債などの低リスク資産に一部シフトする ・インデックス投資をやめて、配当株やREITに切り替える ・下落時にスポット買いをする「バリュー投資」に切り替える
投資は「継続すること」が大切ですが、それが精神的負担になるようであれば、方法を変えるのも健全な選択です。
5. 下落時こそ「情報」と「戦略」がカギになる
不安なときこそ、感情に振り回されるのではなく、「冷静な判断力」が必要です。そのためには、以下のような知識を日ごろから身につけておくとよいでしょう。
- ボラティリティ(価格変動性)についての理解
- ドルコスト平均法の効果を数値で検証する
- リーマンショックやコロナショック時の積立パフォーマンスの事例
リーマンショックの際、積立投資を途中でやめてしまった人と、そのまま継続した人では、10年後の運用成果に大きな差がつきました。下落時に「売らない」「止めない」ことで、反発局面の恩恵を最大限に受けることができます。
また、積立を継続するには、インデックスの中身を知ることも大切です。S&P500やTOPIXの主要構成銘柄を確認することで、投資対象が成長性ある企業群であることを再認識できます。
まとめ|積立投資は「続けられる仕組み」が成功のカギ
積立投資は、長期的な資産形成において非常に有効な手段です。しかし、下落時に不安を感じてやめたくなる気持ちは、誰しもが抱くものです。
大切なのは、「自分に合った投資スタイルを見つけること」と、「続けられる仕組み」を作ることです。無理に継続するよりも、金額を調整したり、リスクを抑えた運用に切り替えたりする柔軟性も必要です。
投資はマラソンです。息切れしないペースで、自分らしく走り続けることが、ゴール(資産形成)への近道になるでしょう。